top of page
2024.9.14-10.4
Naoto Fuchigami Solo Exhibition "Standing on Strangeness: We're Only Human"
GINZA SIX 銀座 蔦屋書店 アートウォール(東京)
展示ステートメント
真偽が曖昧な情報が乱立し錯綜する時代の中で、人は人に対してすらカテゴライズしてラベリングし、言い切ろうとする。
確かなものを手に入れたかのように錯覚し、インスタントな快楽に溺れ、豊かさが失われていくような感覚に陥る。
超精密で技術の結晶であるプロダクトを、ケイ素の破片、粉末に加工し、物質に戻す。
構成要素や最小単位に思いを馳せ、その美しさに私たちはただの人間であることを痛感する。
アーティストステートメント
世界の構成要素である原子や分子といった微視的な視点から、物質世界の構造やその奇妙さ、人類との関係をテーマに作品を制作しています。
ミクロの世界で発現する現象や原理は、半導体をはじめとする科学技術、化学、生物学、医療などに幅広く応用されています。一方で、これらの現象や原理は人間の直感に反しており、どう解釈するかという哲学的領域に達しています。
世界を構成しているものが驚くほど奇妙な性質を持つことに心を動かされ、私たちが生きる現実世界の正体や本質は何なのかという好奇心から、量子物理学を専攻し学んだことが制作のきっかけとなりました。
代表作品群である「ℏシリーズ」では、粉砕したシリコンウエハー(ICチップの元となる半導体)を作品に使用しています。
半導体は、現代の情報社会を支えている一方で、人間には理解し難い直感に反した微小な物質の性質を応用して作られています。その観点から、半導体を作品に使用することで、物質世界と人類の関係を表現しようと試みています。人間には知覚できない微小な世界を描くために、半導体という関連性のある素材を用いて概念的な接続を図っています。また、そのような奇妙な性質を持つもので世界が構成されているという神秘性や不気味さを作品で表現しようとしています。
半導体を粉砕する行為は、人類の知力と知覚が物質世界に対していかに到達できないかを象徴し、宇宙への憧憬や畏怖を表現しています。
また、思考の機会が徐々に失われている時代において、利便性や効率性を追求する象徴である半導体を粉砕し、思考を促す美術への価値の変換を試みています。
物理学という独自の視点から、通常は画材として使用されない既製品や素材を用いて、新たな表現の可能性を模索しています。
銀座 蔦屋書店 公式リリース
bottom of page