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2023.4.8-16
Naoto Fuchigami Solo Exhibition "Unobserved"
Gallery Bricolage(兵庫)
“Unobserved” は、気づかれない、見落とされた、観察されていない、注意されていない、といった意味を持ちます。私の制作でのキーワードである「量子力学」と「半導体」は、どちらもそのような属性を持っていると考えています。
量子力学は、現代の発達した文明を支えている、非常に重要な理論です。化学をはじめとし生物学や医療、科学技術に広く用いられています。しかしその理論は人間の直観に反していて、非常に奇妙です。また、専門的に物理学を学んでない限り、なかなか認知されていません。
半導体も、現代の情報化社会には欠かせないものです。スマホはもちろん、ほぼすべての電子機器に入っており、我々はその恩恵を受けています。半導体が発展していなければ、SNSもありませんし、電車のダイヤも制御できないですし、ATMからお金を引き出すこともできません。しかし、半導体の実物は見たことがない人が多いはずです。また、その恩恵も意識して生活している人はあまりいません。
このように、自分の作品群コンセプトをドリルダウンしたときに、「確かに見えていて知っているけど、本質的には(実際には)見えていないし知らないこと」や「当たり前すぎて見落としていること」という共通項が浮かび上がりました。それにふさわしい単語として、"Unobserved"というタイトルに決定しました。
また、私のバックグラウンドであり制作のテーマの一つである量子力学において、
Observe:観測すること は非常に重要な意味を持ちます。量子の世界では人間の観測によって物質の振る舞いが大きく変化します。その奇妙さが、コンセプトである「存在とはなにか」に密接に関連しています。
そのため、物理学の「観測」というワードとかけて本展タイトルとしました。
本展の表題作品である、展覧会タイトルと同タイトルの作品 <<ℏ - unobserved>> は、「二重スリット実験」という著名な物理学実験において、タイトル通り電子がどちらのスリットを通ったか「観測しない」 場合の実験結果を模したものです。また、<<ℏ - observed>>は、逆に電子がどちらのスリットを通ったか「観測した」場合の実験結果を模したものです。観測によって実験結果が変化しており、物質の振る舞い(性質)が相反するものに変化していることが分かる、シンプルでとてもエレガントな実験です。
この2作を中心に、同テーマで制作した作品群を展示・販売いたします。
ぜひご高覧ください。
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