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ℏ series
「ℏシリーズ」では、シリコンウエハー(ICチップとして切り出される前の半導体)を粉砕して素材として使用している。半導体は、原子や電子といった、極めて小さなスケールの世界で現れる現象や原理を応用して開発された。そういった原理の多くは人間の直観に反する性質を持ち、私たちが日常的に体験し想像し得る当たり前とは大きくかけ離れている。ミクロな原理がマクロな社会の根幹を支えているという逆説的状況を通じて、現実世界を構成するものの不可解さや人間が理解し得ることはほんのわずかであることを表現しようとしている。
作品のモチーフは、著名な物理学実験の引用や、原子などの粒子、天体などが多く、すべて半導体のみで描写している。角度や距離によって虹色に変化する半導体と黒地で宇宙的世界観を演出しつつ、樹脂による鑑賞者の映り込みで、奇妙な成り立ちの半導体に囲まれる人類を映し出そうとしている。
タイトルに含まれる「ℏ(エイチバー)」は、量子物理学の理論計算において頻出する物理定数で、現実世界にはそれ以上分割できない最小単位が存在することを意味し、微小な世界の特異な物理的性質を象徴する。
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