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シリーズ」では、ICチップとして切り出される前のシリコンウエハー(半導体)を粉砕して素材として使用している。半導体は、現代の情報社会を支える一方、人間には理解し難い微小な世界の性質を応用して開発された。その直観に反する性質が、結果的に社会の基盤を成していること、我々が生きる現実世界の構成要素がこうした不可解なものである不気味さや人間の限定性を表現しようとしている。

また、半導体を粉砕する行為は、人間が規定した「プロダクト」から破片や粉末という「物質」へと戻すプロセスとして位置付けている。これは、利便性や効率性の象徴である半導体からその機能を奪うと同時に、人間が物事を単純化しようとする営みや不正確な補間に対する関心に由来する。

タイトルに含まれる「
(エイチバー)」は、換算プランク定数あるいはディラック定数と呼ばれる物理定数であり、量子力学の理論計算において頻出する。これは、現実世界にはそれ以上分割できない最小単位が存在することを示唆し、微小な世界における特異な物理的性質を象徴する。本シリーズでは、この記号をタイトルに用いることで、量子力学的視点を主題のひとつとして提示している。

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