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approx. series

「approx.シリーズ」では、人間が「物事を単純化し、枠に嵌め込もうとする行為」や、「単純化によって生じる不正確な補間」を可視化し、表現することを試みている。物理学を、現実世界を近似するようなものとして捉える、という視点から出発したシリーズであるが、同時に、SNSの一言で人格が判断され、AIによってあらゆる情報が要約される現代において、削ぎ落としが加速している感覚への抵抗と、なおその有用さに押される諦念や自戒を込めた作品群でもある。

<<fitting>>は、発泡ポリウレタンで作った不定形な塊に、既製の額縁などのフレームを押し付け固着させている。ウレタンのコントロールできない自然にできた形を「本来の形」としたとき、フレームはそれを単純化する行為を表す。「本来の形」を物質世界や人の感情、性格などに置き換えると、フレームは科学や言語、他者からの印象などに対応する。

<<inverse>>は、アクリルで着色した液体を規則正しく支持体に滴下し、放置する。表面張力により初めは盛り上がっているが、徐々に広がっていき次第に隣り合うドットと結合する。作為的に打たれたドットが最終的には偶然性によって新たな図像を生み出す。「本来の形」をフレームで規定しようとする<<fitting>>に対して、<<inverse>>は規定された形から本来の形を描き出すため、行為としては真逆に位置する。

<<contour>>は、自然物を半導体で覆った作品である。自然物の輪郭を人工物で覆うことで、形状を近似する。

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